脈ありVT(心室頻拍)対応ガイド:診断・治療・看護と緊急時の対処法

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コラム

心室頻拍(VT)は、心臓の心室から異常な電気信号が発生し、心拍が速くなる不整脈の一種です。その中でも「脈ありVT」とは、心拍出量が保たれ、患者に脈拍が触知できる状態のVTを指します。脈ありVTは無脈性VT(脈なしVT)と異なり、患者の意識が保たれていることが多く、血行動態も比較的安定しているため、対応方法や治療方針が異なります。本記事では、脈ありVTの特徴、診断、治療、看護対応、緊急時の対応まで幅広く解説します。

1. 脈ありVTとは何か?

脈ありVTは、心室頻拍のうち、心拍出量が維持されていて動脈の脈拍が触知できる状態を指します。患者は意識があり、血圧も比較的安定していることが多いです。これに対し、無脈性VTは心拍出量がほぼないため、意識消失や血圧低下を伴い、緊急の心肺蘇生が必要となります。

VTは持続時間によって「持続性VT(30秒以上持続)」と「非持続性VT(30秒以内に消失)」に分けられ、波形の形状によって「単形性VT(波形が一定)」と「多形性VT(波形が変化)」に分類されます。持続性で多形性のVTは血行動態の破綻を起こしやすく、より注意が必要です。

2. 脈ありVTの診断とモニタリング

脈ありVTを診断する際は、心電図モニターでVT波形を確認しつつ、患者の意識レベルや脈拍の有無、血圧を測定します。動脈の脈拍が触知でき、患者が意識を保っている場合は脈ありVTと判断されます。意識レベルの低下や血圧低下があれば無脈性VTの可能性が高く、緊急対応が必要です。

12誘導心電図を用いて波形の詳細を把握し、単形性か多形性か、持続性か非持続性かを評価します。これにより治療方針が決まります。モニタリングは継続的に行い、患者の状態変化に即応できるよう準備します。

3. 脈ありVTの治療方針

脈ありVTの治療は、患者の血行動態の安定度や症状の有無によって異なります。基本的には以下のような対応が推奨されます。

  • 安定した脈ありVT:薬物療法が第一選択となります。アミオダロンやβ遮断薬などの抗不整脈薬を内服または点滴で投与し、心拍の安定化を図ります。
  • 症状がある場合や薬物療法が無効な場合:カルディオバージョン(同期電気ショック)を行います。通常、100ジュールから開始し、効果がなければ段階的にエネルギーを上げていきます。
  • 持続性VTで原因が不明または再発する場合:植込み型除細動器(ICD)の装着やカテーテルアブレーションなどの根本治療が検討されます。

非持続性VTで症状が軽微な場合は即時の治療を要さないこともありますが、持続性VTや症状がある場合は積極的な治療が必要です。

4. 脈ありVT発見時の看護師の対応

看護師は脈ありVTを発見した際、以下の手順で対応します。

  • 患者の意識レベルと脈拍を速やかに確認する。
  • 主治医に速やかに報告し、指示を仰ぐ。
  • バイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数など)を測定し、継続的に観察する。
  • 12誘導心電図の実施準備を行う。
  • 静脈路確保や酸素投与の準備を行う。
  • 必要に応じて除細動器や救急カートの準備をする。
  • 患者の状態が悪化した場合は、直ちに心肺蘇生(CPR)を開始し、院内緊急コールを行う。

新人看護師でも、緊急コールやBLS(一次救命処置)の手順に従い、冷静に対応することが重要です。

5. 緊急時の対応と心肺蘇生

脈ありVTでも患者の状態が急変し、意識消失や脈拍消失が起きた場合は無脈性VTに移行した可能性が高く、即時の心肺蘇生と除細動が必要です。心肺蘇生では胸骨圧迫の部位、深さ、速度を正確に行い、人工呼吸も適切に補助します。

除細動は二相性除細動器で120~200ジュールのエネルギーで行い、ショック後はすぐにCPRを再開します。アドレナリンや抗不整脈薬の投与も併用されます。これらの処置は専門医の指示のもと、迅速かつ的確に行うことが求められます。

6. 脈ありVTの予防と長期管理

脈ありVTの再発予防には、基礎疾患の管理と生活習慣の改善が重要です。心疾患の治療を継続し、ストレスや過労を避けることが推奨されます。薬物療法の継続や定期的な心電図検査で異常の早期発見に努めます。

重症例や再発頻度が高い患者には、植込み型除細動器(ICD)やカテーテルアブレーションが検討されます。これにより突然死のリスクを大幅に減少させることが可能です。

7. 脈ありVTに関する最新の知見と研究動向

近年の研究では、脈ありVTの治療において薬物療法と電気的治療の組み合わせが効果的であることが示されています。また、患者のQOL(生活の質)を向上させるため、非侵襲的な治療法や遠隔モニタリング技術の開発も進んでいます。

さらに、AIを活用した心電図解析により、VTの早期発見やリスク評価がより正確に行えるようになり、個別化医療の実現に寄与しています。

まとめ

脈ありVTは心拍出量が保たれているため、無脈性VTに比べて緊急度はやや低いものの、適切な診断と治療が不可欠です。患者の意識や血行動態を継続的に観察し、薬物療法やカルディオバージョンを適切に行うことが重要です。看護師や医療スタッフは迅速かつ冷静に対応し、患者の安全を確保する役割を担います。長期的には再発予防と生活管理が治療の柱となり、植込み型除細動器などの高度医療機器も活用されます。最新の技術や研究成果を取り入れ、より良い治療とケアを目指すことが求められています。

脈ありVT(心室頻拍)対応ガイド:診断・治療・看護と緊急時の対処法をまとめました

脈ありVT対応では、まず患者の意識と脈拍を確認し、血行動態の安定を評価します。安定している場合は抗不整脈薬による薬物療法を中心に治療を進め、症状が悪化したり薬物療法が効果を示さない場合はカルディオバージョンを行います。看護師は主治医への報告、バイタルサインの継続観察、緊急時の心肺蘇生準備を行い、患者の安全を守ります。長期管理では再発予防のための生活指導や必要に応じた医療機器の導入が重要です。これらの対応を通じて、脈ありVT患者の予後改善とQOL向上を目指します。

※診断結果は娯楽を目的としたもので、医学・科学的な根拠はありません。
ご自身の判断でお楽しみください。

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